生命保険でお金を借りる、契約者貸付制度とは?
生命保険の契約者貸付制度でお金を借りる
お金を借りなければならない時、最初に銀行などの目的ローンや消費者金融のカードローンを思いつきますが、加入している生命保険でお金を借りる事が出来ます。
生命保険には「契約者貸付制度」という融資制度があり、この制度を利用すれば、目的ローンやカードローンよりはるかに有利な条件でお金が借りられます。
「契約者貸付制度」はどんな制度なのか、利用方法などを紹介しますので、お金を借りる事を考えている人は参考にして下さい。
生命保険の種類
生命保険でお金を借りると言っても、どんな保険でも借りられるというわけではありません。
生命保険には
- 「掛け捨てタイプ」
- 「積み立てタイプ」
2つのタイプがあります。
「掛捨てタイプ」というのは、保険料を支払っている間だけ保証してもらえるというタイプで、解約すると保険料は帰ってきませんし、保証してもらえるのは保険料を支払っている間だけで、「積み立てタイプ」と比べて保険料は安くなっています。
積立てタイプの場合は、支払った保険料の一部は積立てられているので、解約をした場合、でも、積立てられたお金は返金される仕組みとなっています。
契約者貸付制度をおすすめする理由
お金を借りる方法として「契約者貸付制度」をおすすめするのは、保険を解約して「解約払戻金」を受け取るより、多くのメリットがあります。
保険を解約せずにお金が借りられる
保険を解約して「解約払戻金」を資金に充当した場合、解約してしまうため保証を受けることが出来ません。また、解約後に改めて保険加入をする時は年齢に応じた保険料になるので、保険料が高くなってしまう可能性があります。
「契約者貸付制度」は保険を解約しないままお金が借りられるので、保証はそのまま続くので「保証を受けたままお金が借りられる」というメリットがあります。
金利が低い
「契約者貸付制度」はカードローンと比べて利率が低いという点です。銀行カードローンの平均金利は14.5%程度と言われていますが、「契約者貸付制度」の利率は保険会社や金額などにもよりますが、1.55%~3.0%となっています。
「契約者貸付制度」は自分が預けている生命保険を担保にして借金するので、カードローンと比べると利率が低く、急にお金が必要になった時でも金利を気にせずにお金が借りられます。
ただし、契約者貸付制度は解約返戻金の一部を借りるというシステムなので、積立金が少ない状態では、利用できない事もあります。
返済は自由方式
一般的なカードローンやクレジットカードで分割払いにした場合、決められた返済日に少しずつ借金を返していかなければならないので、返済が出来なかった時は他社から借りてでも返済を続けなければなりません。
しかし「契約者貸付制度」は、借入金額が解約返戻金以下なら返済方法は自由となっています。返済日は決まっていないので、まとまった金額が入った時に支払ったり、返済できるだけのお金を支払ったりすることも出来るので「返済に追われる」という事もありません。
契約者貸付制度が利用できる保険
「契約者貸付制度」が利用できるのは、解約金が発生するタイプの生命保険に加入している場合で、解約金を担保にして、お金を借りることが出来る制度です。
契約者貸付制度は積立型の保険の
- 個人年金保険
- 学資保険
- 養老保険
- 終身保険
など。
契約者貸付制度は、終身保険や養老保険などの「解約返戻金」がある保険に限られています。
「解約返戻金」とは、保険を解約したときに支払われるお金の事で、保険料は、死亡時に支払われる「死亡保険料」や、保険会社の手数料となる「付加保険料」、生存しているときに受け取れる積立金「生存保険料」で構成されています。
このうち「死亡保険料」と「付加保険料」は戻ってきませんが、解約時に保険加入者が生存している場合「生存保険料」は戻ってきます。この金額からさまざまな経費を差し引いて戻ってくるのが「解約返戻金」です。
「契約者貸付制度」はこの解約返戻金を担保にお金を借り入れする制度です。ただし、解約返戻金が出る保険であっても、プランによっては同制度を利用できないケースもあるので、詳細は保険会社の窓口やコールセンターに問い合わせが必要です。
担保や保証人は不要
一般的にお金を借りる時は、担保や連帯保証人を用意する必要がありますが「契約者貸付制度」は担保や連帯保証人は不要です。
理由は、保険の契約者は保険の積立金を担保にして、積立金の一部を借りるという事になるので、お金を借りるための担保や保証人は必要ありません。
保険会社に預けているお金を、引き出すことは出来ませんが、貸付制度なら貯蓄している部分からの貸付となるので、お金を借りる時の金利は一般的な貸付よりもはるかに低金利でお金を借りることが出来ます。
どれくらいの金利で借りられる?
実際に適用される利率は、契約時期、保険商品の種類、契約者貸付の利用時期によって多少の違いがありますが、参考例として
生命保険会社 | 金利(年率) |
---|---|
住友生命 | 1.55% |
明治安田生命 | 2.15% |
日本生命 | 3.0% |
第一生命 | 3.0% |
太陽生命 | 3.0% |
契約者貸付制度の貸付利率は住友生命の1.55%が最も低く、続いて明治安田生命の2.15%、日本生命の3.0%となっています。
ただし、生命保険契約の時期などによって違いますが、通常は契約した生命保険の予定利率に1~2%を上乗せした程度に設定されていることが多いようです。
いくらまで借りられる?
ちなみにいくらまで借りられるのかは、保険証書を手元に用意しておき、生命保険会社のホームページにある会員ページから調べる事も出来ますし、電話で確認する事も可能です。
契約者貸付制度の借入方法
契約者貸付制度の申込方法は生命保険会社で違いがありますが
- 「インターネット申し込み」
- 「電話で申し込む方法」
- 「店頭から申し込む方法」
- 「ATMで申し込む」
という方法が選べるので、自分の環境に合わせた申し込み方法が選べます。
借入方法
借入方法も申込方法同様、生命保険会社によって違いはありますが、大きな違いはありません。
- インターネットで借り入れする方法
- 電話で借り入れする方法
- 自社ATMや提携ATMから借入する方法
などがあります。
インターネットから借入する場合、まず会員登録をする必要があります。
会員登録を済ませ、保険会社のホームページから会員ページへログインすれば「契約者貸付」に関するメニューがあるので、借入金額などを入力すれば指定口座へ振込してもらえます。
電話による借入方法のひとつは「自動音声で申し込む方法」になります。この方法は専用電話番号に電話を入れ、音声案内に従って進めていく方法です。
もう一つはコールセンターに電話を入れて、担当者に「契約者貸付制度」を申し込む方法があります。
保険会社には自社ATMや提携ATMが利用できるところがあります。保険会社のカードが必要ですが、カードを使って自社ATMや提携ATMからお金が引き出せるという方法もあります。
ただし、すべての保険会社でこの借入方法が利用できるわけではないので、各社どの借入方法が可能か調べておく必要があります。
返済方法
返済期間は決まっていませんが、いくら長くても保険の契約期間が終了するまでに返済する必要があります。
返済方法は保険会社で利用できない返済方法もありますが、一般的に
- 保険会社のホームページから、インターネットバンキングで振込みする方法
- 振込用紙を使って金融機関ATM、コンビニATMなどで支払う方法
- 保険会社の指定口座に振込む方法
- 保険会社から発行されるカードを使い、ATMで返済する方法
- 保険会社の窓口で直接支払う方法
などがあります。
契約者貸付制度を利用する時に注意する事
「契約者貸付制度」で注意が必要なのは主に返済方法です。繰り返しになりますが「契約者貸付制度」の返却期限というものは特に決まっていません。しかし、長期間の貸付になると、その分の利息が増えてしまうので計画性を持った返済をする必要があります。
ちなみに、利息は複利で計算されるので、1年経過するごとに、元金を含めた総返済額が多くなってしまいます。
また「契約者貸付制度」はその生命保険を担保にしているので、万が一の時や、満期を迎えるのを楽しみにしているというような場合、「契約者貸付の返済が出来ていないと、借入額と利息が引かれ、手元に残るお金が少なくなる」という事もあります。
いつまでに返済しなければならないという事はありませんが、少しでも早く完済しておく事が重要です。
まとめ
「契約者貸付制度」は急にまとまったお金が必要と言う場合、カードローンの金利より低い金利で利用できます。
返済期日は決まっていないので、自分の状況に合わせた返済が可能ですし、毎月の支払いは決まっていないので、余裕を持たせた返済も可能ですが、長期になると利息も増えます。
短期返済で利用するつもりなら、加入中の生命保険の「契約者貸付制度」の利用を考えてみてはどうでしょうか?